ランドセルに使用される「コードバン」はどんな素材なの?

販売店や直売店などで直接ランドセルを見て選びたいという方は、売り場に並んでいるランドセルを見比べたときに、どうしてこんなに価格に差があるの??と疑問に思うことがあります。

 

ランドセルに使用されている素材には「人工皮革」のものと、本物の動物の皮から作られる「牛革」と「コードバン」の天然皮革のものがあり、このなかでひときわその光沢と質感が違っているのが「コードバン」です。

 

コードバンと聞いても、どの動物の皮なのかわからない…という方もいるのではないでしょうか。

 

コードバンとは、馬のお尻の皮から採れる皮の内側にある、コラーゲンのかたまりでできた線維密度が高く硬い2mm程度の繊維質の層である「コードバン層」のことをいい、1頭から採れる量が少なく希少価値が高いため「革のダイヤモンド」とも呼ばれています。

 

その強度は丈夫だと言われる牛革の2〜3倍の強度を持っていると言われており、キズや汚れにも強いため長期間使用することができます。

 

コードバン層は、ヨーロッパの一部で食肉用として生産され放牧されている農耕馬が、オオカミなどに噛みつかれたときにケガがひどくならないようにするために身についた、自然に近い環境で育った馬にしかない自然の産物です。

 

現在は北欧産のみで食肉用の馬のコードバンが使用されていますが、革だけを目的にして馬が屠殺されることはありません。

 

コードバンを精製するにはとても長い月日が必要になるため、現在はアメリカのホーウィン社と日本の新喜皮革の2社しか精製しておらず、コードバンの希少価値はどんどんと高くなっています。

 

日本の姫路市にある新喜皮革社では、ヨーロッパで選定した原皮を日本へ運送した後、約10ヶ月もの期間をかけてコードバンを仕上げています。

 

見た目や手ざわりが最高級のコードバンのランドセル

硬くて丈夫なコードバンを使用して作るランドセルは、職人さんのミシンで縫う技術であったり、傷をつけないようにして磨き上げる技術が必要になってきます。

 

手間暇をかけて仕上げられているコードバンの特徴は、牛革の2倍から3倍はあると言われる強度と、シミ、汚れ、傷などにも強いので、長い期間使用することができ、使い始めはやや固いのですが、使い込むうちにだんだんと馴染んできて、色合いや風合いなどが出てきます。

 

現在のランドセルは、コードバンの質感に似せるために牛革や人工皮革にもさまざまな工夫がされていますが、なかなか本物の質感には追いつくことが難しいようです。

 

元気な子どもたちは、遊んでいるうちについランドセルを乱暴に扱ってしまうことがあったり、教科書の出し入れのときにかぶせに折り目がついてしまったりすることもあります。

 

コードバンを素材としているランドセルはしなやかで丈夫なので、元気な子どもたちが6年間使用しても型くずれせず劣化を感じにくく質感もそのままで使用することができます。

 

コードバンのランドセルは価格が高いので、思わず子どもに乱暴に扱わないで丁寧に扱って!と言いたくなりますが丈夫でへたりにくいので、元気な子どもにぴったりの素材なのです。
しかし、コードバンのランドセルは重量が人工皮革のものよりも重くなっているため、背負いやすさの工夫がされていて体感重量が軽く感じられるメーカーのランドセルを選んであげると、子どもの体への負担を軽減することができます。

 

コードバンのランドセルのメリット・デメリットとは?

 

コードバンのランドセルのメリット

  • 使い込むことで深い色合いや風合いが出る
  • 人工皮革や牛革とは違う品格がある
  • 強度が高い
  • 体に馴染みやすい

 

コードバンのランドセルのデメリット

  • 水に弱い
  • ランドセルの重さが重くなる
  • 希少性が高いので価格が高い
  • 定期的なお手入れが必要

 

最高級であるのコードバンのランドセルは、ランドセル全てにコードバンが使用されていれば価格がとても高くなるのですが、カブセの部分にだけコードバンを使用しているものならば、まだ価格が抑えられるため購入することができるランドセルもあります。

 

コードバンならではの使い込むことによって味わうことができる色合いや風合いは、6年間使用したあとに飾っておいてもいいほど深みが出ます。

 

しかし、人工皮革のランドセルとは違い天然皮革のランドセルについては、乾燥でシワが入るのを防ぐために定期的に革にオイルを塗るなどの手入れが必要になってきますが、小学校に入ったばかりの子どもがしっかりとランドセルのメンテナンスができるのかは難しいところなので、お手入れに親の手助けが必要になってしまい手間がかかってしまいます。

 

また、コードバンは水に弱いため、濡れてしまった場合にはそのままにすると大きなシミになってしまうことがあるので、早めに乾いた布で拭きとって日陰で自然乾燥させなければいけません。

 

最近では、革の表面に撥水や耐傷の加工がしてあるものも増えてきていますが、それでも天然皮革の場合には人工皮革のものよりもお手入れが必要になってきます。

 

それでも、デメリットよりもメリットのほうが際立つコードバンならではのよさが、コードバンのランドセルが人気がある理由なのではないでしょうか。